null 皆さんこんにちは。今回のこの「訊いてみた。」は、編集部ではなくひきこもり経験者の方にリポートしていただく新企画でお届けします。


null新企画ー☆えーっと、行ってきてもらったのは「お店のようなもの」だそうで…お店ではないの?



nullそうだね。サイトには「お店のようなものは、お店のようなものです。ときどき開いて、なにか売ったり、なにかやったりしています。」と紹介があるよ。何だか不思議なところ…。

nullそんな「お店のようなもの」で開かれたトークイベント。誰と誰がどんな話をしたのか、詳細はタクさんのレポでどーぞ!


野宿愛好家編集長の「お店のようなもの」


お店

2015年6月21日、ミニコミ誌「野宿野郎」の編集長・かとうちあきさんと、ひきこもり名人・勝山実さんの対談イベントが開かれた。会場は横浜市南区中村橋の「お店のようなもの」。

かとうちあきさんは、高校時代から旅をよくされていた人である。かとうさんが旅を始められたのが、高校3年生の夏。友だちと青森から下関の本州縦断旅行を実施した。ただの旅行ではない。徒歩旅行である。それも旅館やホテルに夜泊まるわけでもない。主に野宿をしたそうだ。

そう、かとうさんは「野宿」をするのが好きな方なのである。
かとうさんの「野宿好き」は相当なもので、大人になった今でも野宿をよく行っているそうだ。
現在はミニコミ誌「野宿野郎」を立ち上げ、編集長をされている。 このミニコミ誌には、野宿が好きな人や海外をなるべく安く旅行したい人が寄稿している。

そんなかとうちあきさんが、2014年秋に設立したのが「お店のようなもの」である。

京急線黄金町駅方面から歩くと、横浜橋商店街―横浜一の賑わいを持ち、立派なアーケードを持つ商店街―を突っ切り、川を渡り、高速道路の高架をくぐって、もう少し行くと出現する変わったスペース。
真っ赤な壁と段ボールで出来た不思議な看板、ライブハウスのような大量のイベントのお知らせのチラシがガラスに貼ってある、そこが「お店のようなもの」だ。

中に入ると、昔懐かしい駄菓子や古本、どこから持って来たのかという感じの大きな日本人形、少し前のアニメのフィギュア、巨大な水晶、木彫りの熊なんてものもある。色々なモノが無秩序に売られている不思議な空間となっている。

2階はイベントに活用できるスペース。四畳の部屋が二間というこぢんまりとした会場。畳張りのその空間は昭和の雰囲気。

ある時は、芸術家っぽい人を招いてのアートイベント。ベッドシーツに絵を書いてもらって、壁に飾ったり、写真展を行ったり。またある時は平日の日中に、近所の方と交流したり、近所の人から寄付されたものを売ったりもしている。

かとうちあき×勝山実――野宿の魅力とひきこもりとの接点


トークイベントが開かれた2階のスペースは、お世辞にも「広い」とは言えない空間だけれども、当日15人くらいのお客さんがやってきて、ほぼ満員の状態。 特に格式ばった雰囲気ではなく、まるでちょっとした宴会の延長戦のような、ゆるく、アットホームな感じのお客さんを巻き込んだ対談会であった。

勝山さんがインタビュアーとしてかとうさんに質問を飛ばすスタイルでイベントは進行した。 その中で筆者が特に気になった質問は「野宿には、ひきこもりがちな人が来るの?」というもの。
かとうさんはたまに「野宿を皆でしよう」というイベントをされている。ある時は公園、ある時は河原、ある時は商店街で、野宿が好きな同好の士で集まって、皆で野宿をしよう、一夜を明かそうという集まりだ。
ただ、寝袋を持って集まるだけではなく、ご飯を持ち寄って簡易のガススタンドを使った鍋をしたり、夜空を見上げたりするそうだ。
そして気が向いたら各々のタイミングで眠りに就く。
そんな開放的なイベントとひきこもりがちの人。勝山さんの質問に対し、少し合わないかもなあ…というのが会場の雰囲気。
実はこの記事の筆者である私も、前に少しひきこもっていたことがある。筆者は、家から出たうえで知らない人と屋外で寝るなんて出来るかなあ…、みたいなことを考えたのだ。だから「少し合わないかも…」と感じた。
しかし、かとうさんは「そんなことはない」と語ったのだ。

かとうさん曰く、決まったお店に集まることとは違って、野宿はもっと自由だと言う。
お店とは違ってお金もかからない。
それにお店だと建物の中だから、どうしても圧迫感がある。椅子に座ると、ちょっと合わないなあって時に席をずらすのも難しい。
でも野宿ならば屋外なのでまず広いし、寝袋を持ってくれば、その場で他の人との会話が上手くできなかったりしても、気まずかったら寝ちゃえばいいと言う。
それに照明に照らされていない暗い場所なので、お互いの顔が見えない。
これが意外と落ち着く人は落ち着くようで、普段照れ屋で無口そうなタイプの人が多弁になることもあるそうだ。

そういうのを聞くと、ひきこもりがちな特質を持つ筆者の私、勝山さんのひきこもり系のイベントの常連でもあるお店に来られた他のお客さんも「あー…」と共感の声を漏らした。

かとうかつやま

今の日本ではひきこもりの人が集まる場は多い。
しかし就職の支援や対人コミュ二ケーションの向上とか「何かをする」ということがどうしても要求されてしまう場もまた多い。
そういう場はやはり参加するのにハードルが少し高かったりする。
勿論、そういう「何かをする」ことも大事なのだとは筆者は思う。
でもかとうさんの野宿イベントのようにただ集まって星を見たり、各自のタイミングで眠ったりできる自由な集まりだと、ひきこもりがちな自分も気楽に参加できるのではないか、そう思った。

かとうさんの話を聞いた勝山さんは「野宿は逃げ道があるのだな」と話していた。
勝山さん曰く、ひきこもりの人が集まる会場に行っても周りと話せず「孤立」してしまう経験は、誰もが通ることらしい。その点野宿は、なにか気まずいことがあれば、寝袋にくるまり寝ちゃえばいい。そういう意味での「逃げ道」だと言う。
そういうゆるいイベントならば「居場所」を見つけることも割と簡単なのではとも勝山さんは言う。
野宿を始めとした自由な活動を行っているかとうさんの今後に注目だ。

ふんわりとした自由な居場所。かとうさんの野宿の話を聞いて、そういう居場所の大事さを感じた。

(報告:タク ヤングコミュニティ)



nullタクさん、レポートありがとうございましたー!一見関係がなさそうな「野宿」と「ひきこもり」だけど、「居場所」について考えるいい切り口になったんだね!

nullかとうさんと勝山さんのトーク内容を、もっと詳しく知りたいという方は、下の動画も是非見てみて下さい。


「お店のようなもの」取材映像 from NPO SCMN on Vimeo.


【かとう ちあき】
1980年神奈川県生まれ。法政大学社会学部卒。在学中、就職活動はせずに旅を続けることを決意(のち挫折)。介護福祉士。「人生をより低迷させる旅コミ誌」がキャッチフレーズのミニコミ誌「野宿野郎」の編集長。創刊から6年で7号まで刊行。
著書に「野宿もん」、「バスに乗ってどこまでも 安くても楽しい旅のすすめ」、「野宿入門」など、最新刊に共著「今日も盆踊り」がある。
かとうちあき(お店のようなもの)Twitter:https://twitter.com/kanegonn
「お店のようなもの」ホームページ:
http://omise.nojukuyaro.net/

【勝山実】
著述業、ひきこもり名人。1971年横浜生まれ。好きな言葉は「学歴不問」。2001年「ひきこもりカレンダー」を出版。07年「ひきこもりカレンダー」絶版。かつちゃんは倒れたままなのか。否、かつちゃんは立ち上がった。「安心ひきこもりライフ」(太田出版)発売中。
勝山実Twitter:https://twitter.com/hikilife
ブログ「鳴かず、飛ばず、働かず」:http://hikilife.com/

【ヤングコミュニティ】
ヤングコミュニティとは、主に毎週水曜日の夕方に隔週で横浜の青少年センターや藤沢の新堀ライブ館、夢ひろば(杉田)を利用して、若者の居場所を作るために活動する集まりである。
休日には、簡単な料理をメンバーで作る食事会や地域散策を行ったりしている。
ヤングコミュニティには主に職場や学校以外の居場所を探す方やひきこもりがちな方など多様な人々が集まる。
タクさんはヤングコミュニティの奈良橋修代表に誘われて2年前の2013年からヤングコミュニティの活動に参加している。
対象年齢は15歳~39歳で男女は問いません。(それ以外の世代の方も歓迎します☆)
ヤンコミ公式Twitter:https://twitter.com/yankominara
ヤングコミュニティーブログ:http://tsudoi.blog-rpg.com/


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