<CLCA元代表・和田重宏顧問>

NPO法人「子供と生活文化協会(略称、CLCA)」は、今年度より厚生労働省と神奈川県との協働事業として「県西部地域若者サポートステーション」を開設しています(小田原市城山1)。このサポートステーションは県内で5ヶ所目、県西部地域では初めての開設で、近隣21市町村との連携を図って運営されているものです。

今回は20年にも渡って活動を続けてきたCLCAの歩みについて、CLCA元代表・和田重宏顧問にお話を伺いました。

――CLCAの結成のきっかけは何だったのでしょう。

CLCAは公立学校での隔週5日制が実施されることになり、お休みが増えた分の学校に代わる子どもたちの生活の受け皿として、1992年に設立しました。家族や地域社会とのつながりを大切にして、常に大人と子どもが一緒になって学んで活動をすることを方針としています。とにかく大事にしているのは、生活や文化にまつわる「実体験」。これによりいわゆる「生きる力」や「知恵」というものが養われて、心が育つんだという考えのもとに活動してきました。

主にやってきたのは、農業体験。あと面白い取り組みとしては、能などもやりましたよ。大倉正之助さん(大倉流大鼓方、重要無形文化財総合認定保持者・日本能楽会会員)にお願いして、子どもたちに直接一人ずつ大鼓の稽古をつけてもらったり、現在は「英語で能にチャレンジ!」という講座も開催したりもしています。

<能のパンフレット>

――2000年にNPO法人化してらっしゃいますね。現在のひきこもり支援に至るまでにはどのような経緯があったのでしょうか。

先ほどまでお話したようにCLCAは生活の受け皿として体験を重視した活動を行う団体でしたが、そのうち不登校に関する相談も寄せられるようになりました。

一番大きな転機は、「若者自立塾」(正式名:若者職業的自立支援推進事業)を受託したことでした。不登校児、そしてひきこもりの若者を就労へと導こうという取り組みでしたが、実際はそれまでの道のりが遠い人間が多いと思いました。そこで、すぐに正社員で就労などとということよりも、まずは外に出たり他人と触れ合ったりという形の「自立」を助けようと、他のNPOや神奈川県と協力して「ひきこもり等青少年自立支援プログラム」を作りました。

<映像制作ワークショップの様子>

――現在、CLCAでひきこもり支援を受けている方はどのくらいいらっしゃいますか。

現在の利用者は20~30代ぐらいが多いと思います。CLCAは「生活の力」を作る、ということを大切にしている団体なので、無理に働かせるなんてことはありません(笑)。安心してきて来て頂けたらな、と思っています。

――まずご自身でいらしゃる方が多いのでしょうか。

いえ、保護者の方がまず相談に来られることが多いですね。でもそれはいいことだと思うんです。「まずは動ける人から」と、私は考えています。

ひきこもりは当事者だけの問題ではありません。家族全体の問題なんですよ。まずは動ける保護者の方がいらしてくれて、ひきこもりについて勉強して下さるといい。保護者の方は不安でいっぱいなので、「本人をどうにかしたい → 就職・自立! → 出来ない・・・」、という悪循環を繰り返してしまうんです。本人を追い込む関わり方しか出来ていないことが多い。いわば「家族全体がひきこもり状態」なんですよ。

そうではなく、まず家族がひきこもり本人へのアプローチの仕方を変えることが、ひきこもり状態を緩和する大切な第一歩だと私は考えています。

<県西部サポートステーションの内部>

――CLCAを利用する際には、まずどうすればよいですか。

初めは電話かメールなどでご相談頂きたいです。こちらも「臨機応変・即時対応」ということを心がけて対応しています。

ご家族から相談が来た時にありがちなのは「これで問題が解決する」と、解決のスタートだと思ってしまうことです。私たちのところに連絡を下さって始まるのは、あくまで「相談のスタート」。CLCAに通うようになったり、学校を変えてみたりなど、単に環境を変えることがよいわけではないのです。本人の力が付いていかないと結局元通りになってしまいます。だからこそ、CLCAが大切にしてきた「体験作業」が有効なわけです。

――なるほど。実際にCLCAに通うとどのように1日を過ごすことになりますか。

そうですね、まず朝決まった時間に集合して、丸1日何らかの活動をします。例えば多いのは農作業です。そして皆でお昼を作って食べる。常に共同作業ですね。

身体を動かして働くということはとても大切なんです。ひきこもり当事者はひきこもっている間何をしているかって、ずっと頭を使っているんですよ。どうしよう、どうしようと思考することでいっぱいいっぱいなんです。ですから身体を動かして、ちょっと頭を空っぽにしてみる。すると気持ちが落ち着くようになるんですよ。

<新たに開墾している畑とユニークなオブジェ>

――ありがとうございました。
地域に根ざして活動を続けるCLCA。農作業などの実体験が出来るのが、何よりの特徴です。
取材で訪れたCLCAの畑は、周囲が静かな森で、とても気持ちのいいところでした。事務所隣のCLCA運営・県西部サポートステーションも、木の温もりあふれる居心地のいい空間になっています。

次回はその県西部サポートステーションについて、もっと詳しくお話を伺います。



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