アライブ表紙
ALIVE―僕が生きる意味をみつけるまで

ALIVE -僕が生きる意味を見つけるまで-
宮本亜門
NHK出版
2001年
251ページ

有名演出家の意外な過去

ネスカフェのCM「ダバダ~♪」でお馴染みの演出家・宮本亜門さん。ミュージカルという華やかな世界からは想像しがたいけども、実は宮本さんはひきこもりの体験者なんだって。それだけではなく、若い時には肥満、自殺未遂もしていたり、初の自作ミュージカル「アイ・ガット・マーマン」を上演するまでの苦難、有名になった後も自分のやりたいこととのギャップに悩み、人生をリセット・・・・・・。この一冊には、テレビでは分からない宮本さんの「バタアシ人生」ぶりが隠すこと無く描かれているよ。

ひきこもったきっかけ

宮本さんがひきこもったのは高校2年の時。特にこれというきっかけはなかったけれども、1年間の寮生活を経て2年生になった宮本さんにはクラスに友達がおらず、寮時代から唯一の親友と思っていたクラスメートとも疎遠になり、心の支えを失ったという。そして2年生になってから2ヶ月で何となく学校に行かなくなってしまい、それが三日目になると「行かない」ことが意味を持ってしまい、もう行けなくなってしまったんだって。ふむ。

ひきこもっていた時の生活

最初の1,2ヶ月はみんな心配して来てくれたけど、そのうちに友だちも担任の先生もあきらめて誰もこなくなった。宮本さんが部屋を出るのはトイレに行くときだけ。お風呂はめったに入らないし、食事は朝と昼はみんなが出かけた後に適当に食べ、夕飯だけはお母さんがお盆にのせて部屋まで運んでくれたそうだよ。親とは一触即発の状態で、両親は腫れ物に触るみたいに接していたという。
しかし、このひきこもり生活の時が「最も感受性豊かな時期だった」と宮本さんは書いているね。この間のほとんどの時間を大好きな音楽を聴いたり本をたくさん読んで過ごし、自分だけの世界に没入していたみたい。この経験が宮本さんの作品に大きく影響しているのかな~?

同じ境遇の人たちへ

ひきこもり生活は、8ヶ月目にして突然終焉へ。父親が酔っ払って大暴れし、慌てて部屋を出て止めたんだって。その時に母親と相談し、大学病院の精神科へ。そこの先生が宮本さんの話を受け止めてくれ、心が開放されたという。
宮本さんは、病院に行って、本当によかったと話してるよ。家族というのは近すぎて、いくらもっともらしいことを言われても素直に聞くことができないという。 そして、まず行動することが大事だと書いているね。

確かにいろんな本を読んで、いろんな言葉に出会って、きっと人生ってこうなんだろうな、ああなんだろうなと想像はつくけれど、社会に出ていろいろ体験してみると、誰かの人生論より、はるかに現実のほうがおもしろい。だから、つくづく経験すべきだと思った。

心を開放するよりも先に父親の騒動で修羅場を迎えてしまったけれども、お互いが本当に思っていることをとことん言い合う機会ができたおかげで、学校に行くことができたという。

大人はもっと子どもと向き合って、必死の気持ちを伝えることを続けてほしい。そして、タイミングを見計らって「そろそろ学校に行かない?」と声をかけてあげてほしい。子どもだって、きっと、このままでいいとは思っていないはずだから。

多くの仕事仲間と創意をぶつけあう、演出家という仕事。そこで疾走してきた宮本さんならではの互い思っていることを本気で話し合うという考え方は、ひきこもりの体験から得たものなんだね。

この本を読んでいると、ひきこもりから学校に戻った後の宮本さんは、それ以前とは少し違う印象を受けるよ。大掛かりなことでも、思い立ったらすぐ行動に出るし、色々重なって気持ちが塞ぐと、フラッと知らない土地に出て人生をリセットしてみたり。友だちに「亜門のやり方だから仕方ないけど・・・・・・」と嫌味を言われるくらい思い切っていて(笑)、たった一度の人生だから全力で駆け抜ける。人がやりたくてもなかなかできないことを通してて、読んでる自分もすっかり感化されました!

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