――前回のチャットインタビューでは、Tさんのひきこもり開始から4年目くらいまで編ということでお話いただきました。今回はその続きから現在までお伺いしたいと思いますm(__)m
了解です、よろしくお願いします。
――まず弟さんと暮らすということになって、実質は一人暮らしをはじめた感じになったんですよね?
はい、一人暮らしになってましたね。
――実質の一人暮らしをはじめてみて、気分はいかがでしたか?
最初の頃はやっぱり寝込んでいました。 半年ぐらいそんな感じで、だんだん回復はしてきました。
――ふむふむ。寝込んでる間は食事や生活はどうなさってましたか?
毎日カレーを食ってました。 それ以外はときどき掃除・洗濯ぐらいはして…あとは寝てましたね。
――カレー!自作ですか?レトルト?
自作ですね。もうそれしか食べてなかったので、焼き鳥屋の秘伝のタレ状態になってましたが…。
――秘伝のタレ(笑)
半年ぐらいその生活を続けて、動けるようになってきたきっかけはありましたか? それとも自然に体力が回復してきた感じでしたか?
さすがにこれではまずいだろうと思って、無理やり色々はじめてみた感じです。そう思えるようになるまでは自然回復でしょうか。
――なるほど。
色々はじめてみた、とのことですが、どのようなことをやっていったのか教えて下さい!
とにかく心の調子を取り戻すのと体力つけるために運動しようと思って。でも1人でできるスポーツもあんまりないんで、とにかくひたすら歩いてました。1日6時間~10時間ぐらい。
――1日6時間~10時間って!すごいですね。。
距離的には何キロになります?
20kmから30kmぐらいでしょうか。
1日2、30kmはかなりの距離だと思いますが、当初筋肉痛とか、やっててつらいなあ・・・とは思いませんでしたか?どのくらい続けられたのでしょうか?
いや、なぜか使命感みたいなものがあって。ただ歩くだけなんですがwあんまり辛いとは思いませんでした。1年ぐらいは続けてましたね。今でも調子悪くなると歩いてます。
――「歩こう!」っていうのは自分で自然に思いついたものなんですか?
するといいよ!とは通ってたメンタルクリニックの先生に聞いていたんで、その影響が大きいですね。
――なるほどなるほど!
歩いて体力がついてきて・・・気分や行動はどのように推移していったでしょうか。
体力がつくとやっぱ考え方も変わるっていうか、何かやっても疲れなくなってきて。それで他のこともだんだんできるようになっていきました。最初は専門学校に行きましたね。IT系というかウェブ系というか。
――その前からPCのことは独学で勉強されていたとのことでしたが、ウェブ系の勉強はいかがでしたか?
専門学校に行ったのはいいですが、実はあまり新しく学べたことはなくて…。ですが、ひさびさに他人と付き合うことができる環境に行けたのがよかったですね。
――専門学校に行き始めてから、ひきこもり支援団体にも行かれたのですか?
専門学校行き終わってから支援団体に行くことになりました。専門学校には1年ぐら通いました。
――支援団体の存在はどこで知りましたか?
支援団体は、当時、若者自立塾っていうのがあって。どっかでその単語を聞いて、検索してみて一番近いところが横浜のとある支援団体だったという感じです。
――若者自立塾にはどんなことを期待しましたか?またはどんなことをしようと思ってむかいましたか?
いや、実は…とにかくどうにかしなきゃいけないとは思っていたものの、どうすればいいのかよくわからなく…。で、酒飲んだ勢いで飛び込みで説明会に参加してみたってのがキッカケで。何か具体的に期待していたというよりも、とにかく動かなきゃっていうのが大きかったです。
――そうだったんですね!?
説明会行ってみて「これは!」っていうのがあったんでしょうか。
それとも・・・なんとなく?
正直、説明会ではよくわからなかったんですよw
でも、共同生活でちょっとは社会性を取り戻せるかもしれない、みたいな期待もあって。
あとはとにかく、考えるよりもまず動かなきゃいけないなってのに突き動かされてました。
――>よくわからなかった
そっかーwww
共同生活、実際はどんな感じなのですか?
相部屋で暮らして、毎日規則正しく生活して、最初はいろいろなプログラムをやって…みたいな感じですね。割りと早めに規則正しい生活って意味じゃ崩壊してましたが…。
――>いろいろなプログラム
そこんとこkwsk!!
プログラムですが、本当色々あって。ボイストレーニングとか、ビジネスマナーから、絵かき講座なんてものまで色々と。
――ふむふむ。
Tさんが興味もたれて受講したのは、どんなプログラムでしたか?
ビジネスマナー講座とかでしたね。そこらへんを教育されることなく来てしまっていたので…基本的な社会人のマナーみたいなものを学ぶ感じです。あとは面接での作法とか…。
――先程「割りと早めに規則正しい生活って意味じゃ崩壊」と仰ってましたが。
元々不眠症なこともあって…せっかく規則正しい生活プログラムみたいなものがあったのに、ついていけない感じになりました…。
――不眠は、つらいですね。。その時は睡眠導入剤とかは無しでお過ごしだったんですか?
睡眠薬をずっと飲んでました。飲んでいると眠れるのですが、逆にやたらと寝過ぎたり眠れなかったりでいろいろと生活リズムに関しては混乱してました。今もですが。
睡眠薬については、効いたり効かなかったりです。なんだか調子の波みたいなものがあって、調子いいときはそれなりに動けるけれど駄目なときは寝込んだまま、みたいな感じが続いていました。
――集団生活の期間はどのくらいですか?
その支援団体の場合、基本的にずっとです。一応、共同生活が基本となっているので。私は3年そこにお世話になりました。
――3年は長く感じました?早かったですか?
なんだかんだで早かったですね。意外と密度が濃かったというか。
やっぱIT周りのことが多かったんですが、やることが結構多岐に渡ってて。いい経験になりました。
一方、人付き合いとかがそれほどできなかったのは残念でしたが…。
――支援団体で人付き合いがあんまりできなかったことが残念とのことですが、今後どのような人間関係を築いていきたいか、ビジョンや期待・希望はありますか?
正直コミュ障なので…w なんだかうまくいかないんですが、うまくいかない理由がわからないという。ただ、仕事の面ではお客様にわかりやすく説明するとかそういうことを心がけたいです。
――こーいう友達欲しいなーとかありますか?
あとはネットと通じての人間関係とか、色々あるとは思いますが、Tさん的に「このサービスを利用して仲間を見つけたい」とか「このサイトを使って仕事していきたい」とかありますか?
ひきこもりの方が見て、参考になるものとかあると嬉しいです。
何か一緒に作れる仲間とかですかね。
Facebookもいいですが、ニコ動をはじめとしてpixivとかPIAPROとか、そういう創作系コミュニティーにコミットしていきたいです。あとはhixiというひきこもり向けSNSとか。
仕事の面では、ランサーズなどのクラウドソーシングと呼ばれているものに期待しています。ひきこもりでも仕事できますから…。これはネット上で仕事の売り買いができるサイトというか。語弊がありますが、ネット上でやりとりできる仕事を集めた内職サイトというべきか。ネット越しで仕事のやりとりができるので、ひきこもりでも仕事ができます。
――なるほど。
Tさんはひきこもり生活を経て、自分で「得た」と感じたものはありますか?
「得た」もの…。ひきこもり生活自体で言うと…あるのかな…。なんかこっ恥ずかしいですが、他人に対して優しくなれた感があります。ダメダメでもいいだろ常考的な。
――支援団体の支援を受けてみての感想をお聞かせください。
やっぱりひきこもり状態からいきなり外に出れるようになるのは難しいと思うんですよ。対人関係から生活リズムまで、想像以上にいろいろなことができなくなっていることが多いと思うので。それを取り戻すのにはいいんじゃないかな、と思います。
――ふむふむ。
もっとこんな支援が受けたかったーっていうのはありますか?
いや、非常に良くしていただいたので…。あんまり無いですかね。強いていうなら専門知識の部分ですが、これは支援団体が直接やることではないんじゃないかと。
――もっと職業訓練的なのに特化したひきこもり向けの支援があるといいのですかね?
ですね。ただ、そういったそれぞれの分野に特化した支援を支援団体が全部カバーするのは不可能だと思うので、外部の教育機関や職業訓練につなげる仕組みがあればいいなと思います。そういう職業訓練自体がそれほど無いかもしれないですが…。
――なるほど。
今後Tさんはひきこもりに戻る可能性があるかないか、ご自身でどう思われますか?
または、ひきこもった経験というのは、今後に活きるとお考えでしょうか。
これから引きこもりに戻る可能性はあると思います。というか、引きこもったまま働こうと画策しています。
役に立つかどうかは難しいですね…。ひとつ言えることは、どんなもんであれ(若い頃の)経験は人格形成に多大な影響をあたえてしまうので、否が応でもそれを元に生きていくことになってしまう…という玉虫色の回答。役に立つかどうかは別にして、人生の基盤になってしまいます。
――それでは最後に。
ひきこもり経験者として、ひきこもりの方へメッセージはありますか。
そして、ひきこもりでない人々・非ひきこもりの方へもメッセージをお願いします。
あんまり偉そうに語れることはないですが…。
とりあえず人生オワタ状態でももしかしたらどうにかなる可能性はあるかも、っていうのは心の片隅にあってもいいんじゃないかな、と。
オワタ状態でも、死ぬっていう選択肢はとりあえずは置いておいてもいいんじゃないかな、的な。
――うんうん。
非ひきこもりの方へは…。ひきこもりを別に理解する必要は無いとは思いますし、ひきこもりに対してあえて何かしてほしいなんてことは無いのですが、せめて生きてることだけは否定しないでおいていただけるとありがたいなー、と差し出がましくも思います。
――ありがとうございました!
…おおっと!あとひとつ!「ひきスタ」に期待することとか訊いておかなきゃでした><
ひきこもりの人が発信できる、集まって発信できる場所って、ほとんど無いんですよ。それこそ2chぐらいしか無い。そういう意味で、ちょっとでもコミュニケーションできる場として働いて、孤独で煮詰まった状態から抜け出すとまではいかなくても和らげるぐらいの場所になってくれればいいと思ってます。
煮詰まってていいことはないので…。当人にとっても、周囲にとっても。
――了解ですっ!
Tさん、ご協力本当にありがとうございました。