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親のコト

親について

ひきこもり本人に比べて親の存在がメディアなどで大きく取り上げられることは少ないですが、家という閉じられた空間にいる以上、最も身近な存在である親が本人に与える影響は非常に大きいと思います。

何らかの理由で社会の中に居場所がなくなり、家にしかいられない状態がひきこもりですが、ここでさらに家族が追い詰めると最後の居場所を確保するために扉を固く閉じるのは当然だと思います。
社会に居場所がないから家にいるのに、「早く社会に出ろ」と責めれば水掛け論になりますし、ここでもし信頼関係を失ってしまえば【社会につながる橋】が崩れ落ちてしまい、陸の孤島になってひきこもり長期化に陥る可能性が高くなってしまいます。

協力者なしに一人で社会復帰することはほとんど不可能ですので、まず家の中に【安心できる居場所】を確保することが大事で、そこを足がかりにして社会の中に居場所を見つけることが一番着実な方法だと思います。
そのためにはまず【親子の相互理解】が必要だと思います。
しかし日本は生まれた時代によって価値観がそれぞれ違うため、まずお互いの【背景】を知る必要があると思います。

例えばひきこもりの親に多い「団塊の世代」の若い頃(1960年代)の社会情勢を調べてみると、

・失業率1%台前半のほぼ完全雇用。
「雇用対策基本計画」が作成され、働く人が自分に合った仕事ができるように職業を紹介し、その人の能力を高めることを政府主導で行われていた。
・中卒や高卒でも「金の卵」と重宝されて大企業に就職することができ、終身雇用、年功序列賃金、手厚い社会保障を受けることができた。
また団地や社宅などが次々と建設され、住宅手当なども充実していたため、若くして家庭を持つことができた。
・大企業と自営業を中心とする中小零細企業の二重構造によって潜在的失業者が吸収されていたため、失業率が上がりにくい構造になっていた。
・当時は戦争の影響から高齢者が今よりもかなり少なかったため一般会計の30%~40%を公共事業と地方交付税に割り当てることができ、地方間格差の是正がなされていた。

こうして見ると現在の雇用情勢とかなり違うため、親子間で「仕事」に関する意識の違いが生じても無理はないと思います。 ちなみに団塊の世代(現在60代後半)とそれより少し下の世代の若い頃は「三無主義(無気力・無関心・無責任)」「しらけ世代」などと言われ、「豊かさゆえの甘え」と批判されてきました。
また「フーテン族」と呼ばれる人たちは今のニートに似ています。
https://www.youtube.com/watch?v=IEdQgfkqaRU

結局のところひきこもり・ニートを「甘え」と非難するのは、自分たちが若い頃言われていたことをそのまま当てはめて批判しているだけであり、自分が責める立場になったことで克服したと思い込みたいのではないかと思います。
このような「若者論」で一段上から見下ろすのではなく、同じような道を通ってきた先輩として共感することが大事なのではないでしょうか。

「氏か育ちか」と言われるように子供は主に【遺伝】と【環境】によって作られます。
そう考えれば、親の能力を超えた要求を子供に押しつければお互い苦労するのと同様に、子供が抱える問題に親も苦労するのは自然なことだと思います。
ひきこもりは親も子供も行き詰まった状態であるわけですから、子供だけに
責任を押し付けるべきではないと思います。

こうした行き詰まりに対処する手段の一つとして、まずは【親のカウンセリング】が有効だと思います。
専門家のアドバイスをもとに適切な対応を進めていけば精神的な負担も軽減されます。
本人のカウンセリングも大事ですが、【親のカウンセリング】も同様に重視されるべきだと思います。

長文になりましたが、最後にぜひ知っておいて欲しいことがあります。
本人にひきこもった原因を聞くと「どうしてそんなことぐらいで?」と思われることがあるかもしれませんが、砂時計の山がたった一粒の砂で崩れ落ちるのと同様に、背後には【無数の原因】が積み上げられています。
今の状態は本人が持ちこたえられるギリギリのところまで無理をして頑張ってきた結果ですので、「今まで大変だったね。しばらく休めばいいよ。」と声をかけてあげれば、本人の気持ちがスッと楽になると思います。
親としては「そのままずっと家にいるんじゃないか」と心配されるかもしれませんが、実際には「親に申し訳ない」「この状況から抜け出したい」と思っている人がほとんどです。

まずは羽を休ませてあげてください。
飛び立つのはその後でいいと思います。

【飛び立つ先】については社会全体の課題ですので、家族で抱え込まずに皆で一緒に考えていけばいいと思います。
その際、既存の社会以外の選択肢として、【当事者が主体になって運営する経済的に自立した共同体】の可能性を検討するのも一つの方法だと思います。

神奈川県 Yoshi(投稿日:2018年11月23日)

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