「『幾つになっても子どもの自立』を聴いてみた。」前編 に続き、後編では講演を終えた堀内祐子先生へのインタビューをお伝えします!

自作のアートと一緒に写る堀内祐子氏

自作のアートと一緒に写る堀内祐子先生

「親の障がい感」が大切になってくる

――(講演の際に使用した)ホワイトボードに書いた「ケントくんの良いところ」は、なぜあのように書いたのでしょうか?箇条書きではないんですね。

講義で使ったホワイトボード

ケントと折り合いが悪い時に、その辺にあった裏紙の真ん中に「ケントの良いところ」と書いて、周りに思いつくまま、良いところや強みを書きました。そのときのものを今も取ってあるんです。

――今でも取っておいてあるということは、ご家族にとっても大きなポイントだったんでしょうか?

そうですね。3人分残っています。これを読んだ子どもたちがどういう風に捉えたかはわからないですが、ケントは明らかに気持ちが和らいだと思います。これを見て、ちゃんと受け取ってくれたんだなと思いましたね。

――たくさんの講演や本の出版、それに支援活動など、とてもアクティブに動いていらっしゃるように見えます。そのように活動し始めたきっかけはありますか?

10年くらい前の話になりますが、最初に、野村塾というところで話をしたことがきっかけでした。その後、講演に文部科学省の方がみえていて「お母さんの話を日本中のお母さんたちに聞いてほしい」とおっしゃって下さいました。そして、講演を聞いてくださった方々がまた、講演の依頼をして下さって、口コミで広がって、現在に至ります。

――子どもたちが不登校などを経験する中で、子どもたち自身が自信をなくしているな、と感じたことはありますか?

私がとても重要だと思っていることに、親の「障がい感」があるんです。 日本で障がいという言い方をしているけれども、親が障がいをマイナスと捉えていたら、それは子どもに伝わると思うんですね。でも、私の障がい感ってポジティブなんですよ。そういうものを受け入れてこの世に生まれてきた、素晴らしい人たちだと思っているんです。だから、障がいがあるっていうことをマイナスには思っていなくて。 親の障がい感は子どもに影響を与えます。もちろん、子どもは自分の特性をよく知っていますから、自分ができないこととかも分かっています。でも、長男のケントは「どうでもいいし。俺は俺だよ」って言うんですね。「むしろ、発達障がいの方がいい」って言いましたよ。なぜなら、他人より飛び抜けてできることがあるからなんです。「できないことは助けてもらえばいいだろう」って。すごいポジティブでしょう。

親自身が頼れる場所を見つける

――「ひき☆スタ」の投稿コーナーでは、発達障がいを持つ当事者同士が交流をしたいという意見が見られます。一方で、親御さんの居場所についてどのようにお考えですか?

親の会には私も所属をしたことがありますが、現状として、最近のお母さんは参加されない方が多いと聞いています。インターネット上で情報交換ができるからかもしれません。 私も以前は、2つの親の会に入っていたんですよ。1つはすごく大きい親の会で、先生方の講演を企画したりするのでレジュメを作ったりテープ起こしをしたり、そういう作業をしていました。だから、自分の家庭に関する相談はできなかったんです。 もう1つのところは、情報交換やお喋りができたので、行くのは好きでした。同じような思いを抱えているお母さんの話を聞けたので、とても助けになりましたよ。 しかし、その後私が通級指導教室に通うようになり、待合室で同じような境遇の親御さんたちと、思いを分かち合うことができたんです。そこで満たされるようになったので、親の会へ行かなくなったんです。

でも、親の会はあった方がいいなと思います。どこにも頼りようがない、どうしたらいいんだろうといったときに、助けになると思います。 「発達障がい 親支援ハッピーサポート」は親の会ではありませんが、親御さんのお役に立ちたいという思いから立ち上げました。ハッピーサポートは講演会、研修会、相談会、個別のご相談も賜っています。

――親の会はいろいろあるということですが、自分の足でいろいろな会に参加し、自分に合うのを見つけるというのが良い方法でしょうか?

そうですね。それぞれ違う特徴を持っていますから。 私も講演でいろいろな親の会に行っていますが、それぞれ特徴があると感じます。親の会に参加することで助けられている方もいらっしゃるので、上手に利用されたらいいと思います。

「家庭」での教育を変えていきたい

――教育を変えたいというお話について、あえてひとつに絞るならばどこを変えたいと思いますか?

私は「教育を変えたい」とお話しましたが、家庭の中でもっと子どもの意思が尊重されたら良いと思います。子どもが小さい時から、「あなたはどうしたいの?」「あなたはどう考えるの?」と、ずっと問い続けてほしい。そして、子ども自身が一つ一つ選んで行く。自分で決めて、うまくいかなかったり、失敗しても、そこで考えたり、学んだりすればいいと思います。そういうことを講演会で話していますが、最近では学校の先生に向けての講演も増えています。先生方も熱心に聞いて下さいます。

インタビューでは、親御さんのこと、そして、家庭で子どもの意思を尊重するということを中心にお話を伺いました。

【堀内祐子氏プロフィール】 1956年生まれ。 発達障がい(自閉症スペクトラム症、ADHD、LD)をもつ4人の子どもの母親。 日本自閉症スペクトラム学会会員、自閉症スペクトラム支援士、特別支援士、傾聴心理士としても活躍中。 講演では、発達障がい、子育て、不登校、引きこもりなどについて、経験を元に話す。 また、個々の状況に応じた支援を行う「発達障がい 親支援ハッピーサポート」の代表としても活躍。 共著書に、「発達障害の子が働くおとなになるヒントー子ども時代・思春期・おとなへ」(共著:ぶどう社) 「発達障害の子とハッピーに暮らすヒント」(共著:ぶどう社)がある。

<堀内祐子先生のブログ「ぎふてっど」> http://ameblo.jp/horihori-2015/

<堀内祐子先生が代表を務める「発達障がい 親支援ハッピーサポート」> http://happysupport.jp/

<ホームページ「ぎふてっど.com」> http://xn--x8jzbin1d.com/(リンク切れ)

<リンク> 【講演会】「幾つになっても子どもの自立」を聴いてみた。【前編】 https://hkst.gr.jp/oyasuta/13165/

【講演会】『よかれ』という親ごころ-泉谷閑示先生に訊いてみた。 https://hkst.gr.jp/oyasuta/12940/

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