三浦半島の付け根に位置する神奈川県逗子市のお寺、高野山真言宗 海潮山 佛乘院。1000年近い歴史があるというこちらのお寺は、京都に拠点を置く一般社団法人「お寺と教会の親なきあと相談室」の支部として、障がいのある子どもやひきこもりの子どもをもつ親御さんの相談などを受けています。また、1ヵ月~2ヵ月に1度開催されるイベントでは、親同士が語らうカフェタイムや、講演会や健康体操、演奏会などのユニークな催しを行っています。

2023年12月11日(月)、この年最後となるイベント「地域支え合い学習会&お寺で休息~語らいカフェ~」にひき☆スタ スタッフが参加し、住職の齋藤さんとそのご家族、そして共催している社会福祉法人逗子市社会福祉協議会の担当者・飯島さんにお話しを伺いました。また、この日『ひきこもりの8050問題を考える』と題してご講演された 相談機関ヒューマン・スタジオ代表の丸山康彦さんにも、お寺の取り組みについて寄稿していただきました。

一般社団法人「お寺と教会の親なきあと相談室」とは?
障がいがある子どもやひきこもりの子をもつ親が、「親なきあと」を宗教者と一緒に考えていくことを目的として設立。個別相談のほか、専門家の紹介、仲間づくり、講演会の開催など、多角的に親をサポートする体制を整えている。宗教や宗派にこだわらずあらゆる相談を受けることが可能で、全国に14の支部がある。(2023年12月現在)

宗教者だからできる「寄り添ったサポート」

住職の齋藤真佑さん(右)と妻の友昭(ゆうしょう)さん(左)

―佛乘院が「お寺と教会の親なきあと相談室」の支部となったきっかけを教えてください。
真ん中の子どもが小学生のときから不登校になりました。家族みんなで悩んだ時期もありまして、こうした体験がひきこもりについて取り組んでみたいと考えたきっかけです。
それから、「お寺と教会の親なきあと相談室」のことを知ってお話しを聞かせてもらい、1年ほど前に当寺院が支部になりました。

―親御さんたちは、主にどのようなご相談をされていますか。
ケースは本当に人それぞれです。お子さまの年齢としては20代~40代の方が多い印象ですが、「何をどうしたらよいかわからない」という方も少なくありません。
語らいカフェにいらっしゃる方に多いのが、親の会を主催されているという方です。大変深い知識や経験をおもちで「みんなで頑張ろう!」という前向きな雰囲気があります。私たちも励まされて、かえって教わることもたくさんあります。

―お寺でひきこもりの家族について相談できるメリットには、どのようなものがあるでしょうか。
親御さんの多くが悩まれているのが「この先どうなるのか」「自分が亡くなったあとは大丈夫なのか」ということです。「看取り」と「弔い」をできるのは宗教者だけですから、亡くなる前のこと、亡くなった後のこともご相談いただけます。亡くなった後のことまでずっと伴走して寄り添うことが「お寺と教会の親なきあと相談室」の目的であり、私たちの取り組んでいることでもあります。

それから、ここは担当者の交代がないことも大きな強みです。行政サービスは、担当者の方が異動したり辞めたりすることがありますが、お寺であれば住職はずっと変わりません。さらに、住職の次はその子どもが住職に、というように代々続いていくことが多いので、ずっと寄り添っていけます。
また、夜間であってもご相談のお電話をお受けしています。いつ不安な気持ちになっても「大丈夫ですよ」とお伝えできます。

―佛乘院さんでのご相談を考えている親御さんへ一言お願いします。
佛乘院はお寺ですから、「いつでも飛び込める場所」だと認識していただけたらと思います。
遅い時間にお電話いただく方もいますし、それこそ「駆け込み寺」のように駆け込んでいらっしゃる方も少なくありません。不安な気持ちを吐露するだけでも構いません。ぜひお越しください。

目の前に相模湾が広がる、心安らぐロケーション

講演会が開かれた本堂はお線香の香りや炎のゆらぎで心安らぎ、語らいカフェが開かれた客間では波の音が静かに聞こえ、癒やしの時間を過ごせました。
今後のイベント開催情報については、「お寺と教会の親なきあと相談室」のウェブサイト(https://otera-oyanaki.com/)等をご覧いただくか、佛乘院にお問い合わせください。

佛乘院で定期的に作成している「佛乘院便り」

高野山真言宗 海潮山 佛乘院
住所 〒249-0008 神奈川県逗子市小坪4-26-3
電話 0467-23-3274
Eメール goen.butu@gmail.com

JR「鎌倉駅」より京急バス
逗子・葉山駅行「小坪」下車、徒歩3分

JR「逗子駅」より京急バス
鎌倉駅行「小坪」下車、徒歩3分

一般社団法人「お寺と教会の親なきあと相談室」ウェブサイト
https://otera-oyanaki.com/

逗子市社会福祉協議会との協働

逗子市社会福祉協議会の飯島さん

―社会福祉法人逗子市社会福祉協議会(以下 社協)が、佛乘院と協働するようになったきっかけを教えてください。
2022年6月にひきこもりをテーマにした市民向けの学習会を開催したときに、佛乘院さんからお問い合わせのお電話をいただきました。このときは予定が合わず参加できなかったのですが、佛乘院さんもひきこもりについていろいろな取り組みをはじめたときだったので、お互いに情報交換しながら関係を築いていきました。それから話し合いを重ねて、2022年10月に初めて後援という形で語らいカフェを開催しました。

―逗子市では、ひきこもりに関する相談窓口はどのようなところがありますか。
社協以外にも、地域包括支援センターというところで福祉の総合相談窓口としてご相談を受け付けています。これまでは高齢者を対象としていましたが、現在はすべての世代から福祉の相談をお受けしています。

佛乘院は、こうして社協さんとつながれたのが本当にありがたいと感じています。支部を立ち上げる前から相談に乗っていただいたので、逗子市のサポートにとても感謝しています。

社会福祉法人逗子市社会福祉協議会
住所 〒249-0005 神奈川県逗子市桜山5-32-1
電話 046-873-8011(代表)
Fax 046-872-2519
Eメール info@zushi-shakyo.com
ウェブサイト http://zushi-shakyo.com/

バスの場合
JR逗子駅もしくは京急逗子・葉山駅から
18番イトーピア行 19番グリーンヒル行 20番田浦駅行 乗車
バス停「逗子市福祉会館」下車 徒歩3分
JR東逗子駅から
逗子駅行乗車 バス停「逗子市福祉会館」下車 徒歩3分

ご講演された相談機関ヒューマン・スタジオ代表 丸山康彦さんのコメント

当日ご講演された ヒューマン・スタジオ代表 丸山康彦さん

運営している不登校・ひきこもり相談室「ヒューマン・スタジオ」主催の家族会「しゃべるの会」を2022年度まで3ヵ月ごとに逗子市で開催するなどご縁があったことから、このイベントの準備会が同年始まったときに加わり、イベントが始まってからは何度か一般参加し今回は講演もさせていただきました。
当日は親御さん以外にもさまざまな立場の方がお越しくださり、さながら逗子市主催のひきこもり支援研修会のようでした。
そのあとのカフェタイムにも多くの方が残られ、テーブルを3つの島に分けてレイアウトされた海の見えるお部屋で、濃密に語り合っておられました。
ひきこもり経験者の立場から言うと、当事者やそのご家族にとって「ひきこもり支援」は自分を変えさせられるようで敷居が高いもの。いっぽうお寺は、家族の誰もが昔からある人生相談のような気持ちで相談できるところがメリットだと思います。
今年(2023年)は横浜市内にも支部ができましたので、来年も神奈川県内に3ヵ所目4ヵ所目……と増えていってほしいと願っています。(丸山康彦)

相談機関ヒューマン・スタジオ
住所 〒251-0052 藤沢市藤沢19(個人(代表兼相談員)宅の一室)
藤沢駅北口徒歩10分

電話・FAX 0466-50-2345
メールアドレス husta.maru@gmail.com

ウェブサイト https://husta.is-mine.net/
公式ブログ「ヒュースタ日誌」 https://blog.goo.ne.jp/husta

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